要介護者の覚醒の確認も重要

介護の現場での介助作業には、食事介助や服薬介助があります。高齢者は、睡眠障害を患っていたり、活動と休息のバランスが崩れたりすることがよくあります。そのため、睡眠剤を処方されていたり、疲労や意識障害などの影響によって食事や服薬の時間にも眠気が襲うケースが多いです。

しかしそれを理解せずに、こうした利用者に対して無理に食事をとらせようとしたり薬を飲ませようとする介護職員がいることも現状です。特に施設勤務などであれば食事の時間が決まっているので、少しずつでも食べてもらいたいと考えて食事をとらせようとすることがよくあります。ですが、覚醒していない状態での食事介助や服薬介助を行うことは非常に危険です。

眠気が強いと姿勢は崩れやすくなり、食事をしていることや何を食べているのかすら分からなくなることが起こります。人は、これまでの経験も踏まえて、食べ物の形状やニオイなどを思い浮かべます。そうすることで、口へ運ぶスピードや量を調整するのです。

しかし、形状やニオイなどを認識ができないままだと嚥下機能なども低下し、誤嚥や窒息につながるため注意が必要です。こうした要介護者に対しては、可能であれば食事や服薬前に深呼吸や軽い体操を促し、難しければスタッフが口腔体操を実施するとスムーズになります。

そして、眠気があるようなら15分から30分程度の仮眠をとってもらうことも大事です。さらに、必要に応じて、利用者が不快に感じない低音域での声掛けを随時行うことも重要になります。眠気をはじめとした薬の副作用についても、介護の仕事に必要な知識の一つです。